分析・評価技術
マグネシア添加窒化アルミニウムの体積抵抗率向上に寄与する内部欠陥の原子レベル解析
窒化アルミニウム(AlN)は、高い体積抵抗率を有することと、酸化マグネシウム(MgO)を添加することで、高温域において、さらに向上することが報告されています。この向上は、内部欠陥である**反転分域境界(IDB: inversion domain boundaries)**に関連していると提案されてきましたが、その詳細なメカニズムは未だ明らかではありませんでした。そこで我々は、IDBの原子構造および電子構造の観点から、体積抵抗率向上の起源を明らかにしました。
左図(①)の走査透過電子顕微鏡(STEM)像で、窒化アルミニウムに酸化マグネシウムを添加すると線状の欠陥が生じていることがわかります。右図(②)の一番左は、原子分解能での環状明視野走査透過型顕微鏡(ABF STEM)法で取得したこの欠陥部分の構造を示したものです。この欠陥は窒化アルミニウム結晶(上下)の極性が反転する境界に出現しており、右図(②)のSTEMーEDSマッピング像(4つのカラー図)が示すように酸素とマグネシウムがそれぞれ層状に偏析しています。この原子レベルの分析で得られた構造モデルをもとに第一原理計算を行ったところ、この欠陥がポテンシャル障壁となることで電子伝導を阻害し、体積抵抗率を向上させていることが示唆されました。